コラム久保のコラム案件レポート

事業再生型M&A パート2(第2章)【案件レポート/久保のコラム】

第2章(再建策の決定と交渉経緯)

我々みどり合同税理士法人グループでは、主に四国、東京をはじめ関東地区、岡山等を中心にM&A、事業再生コンサルティング等を永年展開しております。
今回は前回コラムに引き続き事業再生型のM&Aの事例として、シリーズで、「破算+事業譲渡の稀有な例」を紹介いたします。

 

前回のおさらい

第1章では、この老舗の名門旅館を復活させるため、筆頭債権者である、メイン銀行、準メイン銀行にそれぞれ交渉に入ったところまでをお伝えしました。
さて、今回は、その交渉の経緯と結果を中心にお伝えいたします。

 

我々が、銀行に提示したこの会社の再建案

再建策は以下の通りでした。

① 基本的には、銀行の債権カットを前提に再建策を進めていく。
(ただし、できる限りの種々の努力を行い、銀行の負担を最低限に抑えることは必須)

② 本件再建にあたっては、経営経験の豊富な同業の会社の支援が不可欠
スポンサーの選定にあたっては、公平性を保つため、指名競争入札方式とする

③ 地域に根差した老舗企業の救済という事で、仕入れ先や顧客には極力迷惑のない形をとりたい

④ 全ての債権者の同意をスムーズに取り付けるため、整理方法は任意方式ではなく、法的手続き(民事再生、会社更生、和議、破算等裁判所の手続きを含んだ方法)を前提とする。

⑤ ここまでの条件を周到に勘案した結果、本件の基本スキームは、「旧会社の破産申し立て+新会社の設立と事業譲渡」でいきたい。

如何でしょうか?そして手順としては、

⑴ 水面下でスポンサーを選定し、

⑵ その後に速やかに新会社を設立し、その会社に旧会社の事業部門を事業譲渡、この時に、事業譲渡の代金の一部を銀行への借入金返済に充てる

⑶ 残った旧会社(銀行負債と不要資産)を直ちに破産申し立て

これらの動きを、銀行にお伝えしながら進んでいくといった方式を提案しました。
※正確には、銀行以外に大口債権者がいましたが、債権者の対応を入れてしまうと話が複雑になりますので、今回は割愛いたします。

銀行も色々悩んでいたと思いますが、結果的には、このやり方しか、この会社を救う手立てが見つかりそうにないことと、そのまま破産してしまうよりは、銀行の債権回収額も大きくなるという事で、了解を取り付けることができました。

 

スポンサー探しに全力!!

さてそうなったらスポンサー探しです。

この案件は非常にデリケートなもので、事業の買収経験もあり、信頼のおける、業界内でもしっかりと経営のできている会社という条件で、複数の候補先を絞り込み、銀行の内諾を得て指名競争入札を実施いたしました。

その結果、この企業を引き受けてもよいという候補先がようやく見つかりました。
入札価格は我々が企業価値を算定し、銀行の内諾が得られると見られる「最低入札価値」を上回ることが絶対条件でしたが、何とかこれも上回ることができたのは幸いでした。

(次回はいよいよこの条件で、この事業譲渡型M&Aの実施内容に入っていきます)

この記事の執筆者

久保 将俊(株式会社みどり未来パートナーズ 代表取締役社長/株式会社みどり合同経営 取締役/M&Aシニアエキスパート)

慶應義塾大学商学部卒。地方銀行勤務、環境関連ベンチャー企業立上げを経て、平成14年に当社に入社。各種中小企業再建計画の策定や、企業の実態に合わせた現実的な再建スキーム、M&Aコーディネート等の経験が豊富。企業、公的機関での研修・講師・講演実績も多数。

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