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事業再生型M&A パート1(第1章)【案件レポート/久保のコラム】

投稿日:2020年8月14日(金曜日)
第1章(案件の概要と引き受けに至った経緯)

我々みどり合同税理士法人グループでは、主に四国、東京をはじめ関東地区、岡山、広島等を中心にM&A、事業再生コンサルティング等を永年展開しております。
今回は事業再生型のM&Aの事例として、破算+事業譲渡の稀有な例を全4章にわたりご紹介いたします。

 

数百年の歴史を誇る温泉旅館の稀有な事例

事情により場所は明かせませんが、今回は数百年の歴史を誇る老舗温泉旅館の例をお話しします。

この旅館は、歴史のある温泉地の中でもひときわ老舗の旅館で、かつては名立たる文豪も利用していた名門旅館でした。
ところが、温泉地の地盤沈下に加え、団体旅行や宴会の需要も減少し、徐々に時代の波に取り残された結果、じりじりと業績は低下、設備投資もままならないまま、大幅な赤字、債務超過、借入過多に陥っており、結局どうしていいか分からないという時点で、我々に相談があったものです。

ここに至って、経営陣の望みは、一般債権者(特に仕入先等)に迷惑をかけたくないの一点張り。しかし、どうみても自力の再生は難しい状況です。
ここで目を付けたのは、対象会社の負債のほとんどを占める銀行の借入です。メイン銀行と準メイン銀行が大幅に債権をカットしてくれれば、もしかしたら、他の一般債権者に大きな迷惑をかけずに会社を再建できる可能性があるのではないか?

そこで我々は、以下の点に焦点を絞り、銀行の説得に乗り出しました。

①このままでは早晩破綻するのは目に見えている。その場合、破算しかとる手立てはない。
②対象会社を何とかするためには、スポンサーを見つけ、経営力と資金力のある方に経営を肩替わりしてもらうしか手はない。
③ただし、新スポンサーに譲り渡すにも、老朽化した設備や大赤字の実態を考えると借入全部を含めて肩替わる会社は絶対にないと思う。
④そこで、経営陣含めた従業員の雇用を守り、事業も存続させて取引業者も含め守っていくためには、一部債権カットを覚悟していただくしかない。
⑤ただし、破算の場合よりは、間違いなく銀行の回収率も高くなるようにする。

 

取引先銀行の提示条件

交渉の結果、取引先銀行が持ち出してきた条件は以下の通りでした。

①言われたことは、心情的にはよくわかる。雇用と取引業者を守るという大義名分と、破算より明らかに銀行の取り分が増えるという事であれば、検討の余地はある。ただその金額の算定には合理的な裏付けが必要。
②更に、銀行内部及び金融庁への説明が、きちんとできるように、誰もが納得できる形をとって提案していただきたい。

そこで、我々は、新たなる形態での、この会社の再建策を銀行に提示したのです。
(この続きは次回です)

この記事の執筆者

久保 将俊(株式会社みどり未来パートナーズ 代表取締役社長/株式会社みどり合同経営 取締役/M&Aシニアエキスパート)

慶應義塾大学商学部卒。地方銀行勤務、環境関連ベンチャー企業立上げを経て、平成14年に当社に入社。各種中小企業再建計画の策定や、企業の実態に合わせた現実的な再建スキーム、M&Aコーディネート等の経験が豊富。企業、公的機関での研修・講師・講演実績も多数。

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