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事業再生型M&A パート3(第3章)【案件レポート/久保のコラム】

投稿日:2020年9月23日(水曜日)
第3章(事業譲渡の実施)

我々みどり合同税理士法人グループでは、主に四国、東京をはじめ関東地区、岡山等を中心にM&A、事業再生コンサルティング等を永年展開しております。
今回は前回コラムに引き続き事業再生型のM&Aの事例として、シリーズで、「破算+事業譲渡の稀有な例」を紹介いたします。いよいよ事業譲渡の実施です。

 

前回までのおさらい

第1章第2章では、老舗旅館を救うための債権者交渉と基本スキームとスポンサー候補の決定までお話ししました。
さて、今回はいよいよ、事業譲渡の実施について説明をいたします。

 

本件スキームのおさらい

① 新しいスポンサーを水面下で探し決定する。(買手候補より買付証明書を徴求)
② 従来の会社(旧会社)から新規設立会社(新会社)へ事業譲渡
⇒譲渡代金の一部を大口債権者へ返済

③翌日、旧会社を破算申し立てし、その日の午後に債権者集会を開催

さて、ここで少しそれぞれの解説をしていきます。

① 新スポンサーの選定にあたっては、以下の条件を満たしていただける方を数社に厳選いたしました。

⑴ 大口債権者(銀行)の了承が得られる相手であること(信用状況等)
⑵ 旅館業の経営実績が十分であること
⑶ 旧会社の経営陣の条件をのんでいただけること
※現在の従業員を引き継いでくれること、できれば自分たち(旧会社の経営陣)も従業員で残れること
⑷ 破算との比較等も入念にシミュレーションし、大口債権者の債権カット額の最低条件を満たせる最低譲渡金額を出せる方

これらの条件の下、指名競争入札を実施した結果、無事名乗り出てくれるスポンサーが現れました。

② 事業譲渡に関しては、新会社に、旅館の経営に関する資産(土地、建物、設備、什器備品等)と営業上の債権債務を新スポンサーに売却(新会社に移す)し、売却代金で銀行の借入の一部を返済し、残りで、弁護士費用や担保抹消等の手数料を賄うものです。
この時、最大のポイントは、この時点で銀行等の大口債権者以外の方々(仕入れ先等)の買掛や未払は全て払いきっていたことです。

③ さていよいよ、翌日、準備していた破算申し立てです。
もちろん裁判所には事前に打ち合わせを終わっております。
朝一番に裁判所に破産申し立てし、即日開始決定をいただきました。
その日の夕方債権者集会を行ったのですが、この内容が特筆ものでした。

実は、先に申し上げた通り、大口債権者(銀行、税金)以外の方々の負債(未払、買掛)は全て払いきっており、なおかつ大口債権者には事前相談済み。
申立代理人弁護士より、「小口債権者様にご迷惑は1円もかけない」こと、なおかつ、新スポンサーも同席頂き、ご自身の口から「基本的には今までの取引先との取引は変わらず続けさせていただきます」と告げたとたん、債権者の中からなんと拍手が巻き起こったのです。

弁護士さんからも、こんな債権者集会は初めてだと言っていただきましたし、我々も苦労しましたけれど、一番報われた瞬間でした。

(次回は、最終回として、その後この旅館がどうなったかを少しお話しします)

この記事の執筆者

久保 将俊(株式会社みどり未来パートナーズ 代表取締役社長/株式会社みどり合同経営 取締役/M&Aシニアエキスパート)

慶應義塾大学商学部卒。地方銀行勤務、環境関連ベンチャー企業立上げを経て、平成14年に当社に入社。各種中小企業再建計画の策定や、企業の実態に合わせた現実的な再建スキーム、M&Aコーディネート等の経験が豊富。企業、公的機関での研修・講師・講演実績も多数。

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