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相乗効果が最大化!?M&A後のPMI事例をご紹介します

投稿日:2023年4月18日 最終更新日:

ここ10年ほどでM&Aという言葉は、後継者がいない企業の存続、事業拡大、成長の手段として認知度が高まり、ビジネスパーソンの間で通じるビジネス用語となりました。

それに合わせて徐々に認知度が高まりつつある「PMI」という言葉はご存じでしょうか?
「PMI」とは、M&A後に相乗効果を最大化するための統合プロセスです。

今回は、PMIがなぜ重要なのかと、その実践例をご紹介します。

PMIはなぜ重要なのか?

M&Aはなぜ行われるのでしょうか。
売り手、買い手ともに「成功イメージ」、つまり理想の姿を実現するためにM&Aという手法を選択すると考えています。

M&Aの契約を交わす「成約」はゴールではなくスタート地点にすぎず、その後こそが「成功」の鍵となってきます。

PMIによって得られる効果は以下のことが考えられます。

①相乗効果を最大化する

現状を把握し、理想の姿へ近づけていくためには事前に適切なプランを用意し、実行、効果の確認が必要です。

②リスクを回避する、抑える

従業員の離反、取引策の剥落など事業を継続する上で大きなリスクを事前に予測し、対策を立てることができます。

③買収資金の調達を円滑に 基本合意、デューデリジェンス(買収監査)の段階から統合作業に向けた検討をスタートし、事業計画や具体的な行動計画を作成することで金融機関への説明も円滑となります。

次は具体的に、弊社グループで支援した事例をご紹介します。

M&Aの背景
譲受企業A社様

業種:切削加工業/エリア:南関東

自動車や電気機器等に使用される、超精密切削部品の難易度の高い切削加工を得意とする企業様です。
クライアントのコストダウンのための設計変更など、詳細な提案ができるため、受注量は安定していましたが、生産の大部分を外注に頼っていたため、自社製造、生産管理のノウハウが確立されていないという課題がありました。
さらに、クライアントからは高品質だけではなく、低コスト化を要求されていました。

譲渡企業B社様

業種:切削加工及び、プレス加工業/エリア:北関東

半導体関連部品、自動車部品等の製造及び精密切削を営まれていました。
低コストでの量産体制を整備しており、製造力に強みがありました。
提案営業の体制がなく、既存顧客との取引に限られていたのが課題でした。

買収前の実施策

①現状の把握

  • 譲渡企業様との面談への同席、資料の調査・分析
  • リスクの洗い出しや解消方法を検討

②相乗効果の検討

  • B社様の設備や技術を活用することにより、既存顧客への新たな提案が可能であることやB社様の取引先へ自社技術を提案することなど、相乗効果発揮の道筋を描く
    ⇒グループとして得られる効果を勘案して10年計画を策定し買収金額を算定
  • M&Aスキームの検討、金融機関への融資判断材料の作成を支援

③PMIスケジュールの策定

  • M&A成立後100日間をめどに、いつ何を誰に対して実施していくかの統合スケジュールを作成
  • 経営理念・ビジョンの策定から、B社様との信頼関係構築、各業務プロセスや部門の統合サポートなどの行動計画を作成
買収後の実施策

①PMIスケジュール、行動計画をもとに「実行支援」を実施

  • B社様の技術を活用することで、A社様の既存顧客へコストダウンの提案が可能となり、価格競争力や既存顧客との関係性を強化できた
  • 以前は既存顧客のライバル関係にある企業とは取引できなかったが、B社様名で取引口座を開設するなどでグループとして、取引先数が拡大できた

②成果の確認ができるよう見える化を支援

  • 月次の業績管理における連結資料作成
  • 管理会計、会議運営などをサポートすることで、成果の見える化や経営の円滑な意思決定を支援
まとめ

いかがでしょうか。

絵に描いた餅のような計画を作成するだけでは、「成功」させることが難しいのがM&Aです。
企業ごとに適切なPMI案を描けて、実行支援まで任せられるアドバイザーに依頼することが大切です。
皆様の成功するM&Aを実現するために弊社も尽力しています。

 

この記事の執筆者

遠藤 航平(M&Aシニアエキスパート)

和歌山大学教育学部卒。地方銀行、高校教諭を経て当社へ入社。入社後、(株)日本M&Aセンターへ出向。銀行員時代に様々な業種の経営者と関わり、経営課題解決提案を行った経験をもとにM&A支援を行う。

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