M&Aの知識コラムセカンド・オピニオンビフォーM&A後継者問題業界再編・法改正譲渡企業様(譲渡オーナー様)向け

失敗事例に学ぶ!中小企業のM&A成功と失敗の分岐点とは?①【譲渡企業様向け】

投稿日:2021年10月4日 最終更新日:

経済産業省が2021年8月下旬よりM&Aアドバイザーをされている企業に向けて、
「M&A」支援機関に係る登録制度を開始いたしました。

この制度は2020年に策定された「中小M&Aハンドブック・ガイドライン」に基づき、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築することが目的とされています。

私がM&Aアドバイザーを始めた2016年は、M&Aアドバイザーをされている企業が百数十社程度でしたが、この2、3年で2,000社を超えるほど増加しているそうです。

M&Aアドバイザーをされている企業が近年、急激に増加していることが分かります。

実際にしっかりとした経験、実績がないにも関わらず、M&Aアドバイザーとして活動されている企業様も少なからず見受けられます。

今後は「M&A」支援機関に係る登録制度にM&Aアドバイザーが登録しているかどうかで、M&Aを検討されている方からの「信用力」が大きく変わってくると想定しています。

今回のコラムでは譲渡を検討されている企業様に向けて、M&Aを成功につなげるために、様々な失敗事例をご紹介させて頂きます。

失敗があるからこそ成功があります。ぜひお読み頂けますと幸いです。

失敗事例① 秘密保持が水の泡

買収監査(DD)も終わり、最終契約直前。
譲渡オーナー様は長い時間を要したM&Aが成立することで、
嬉しさのあまり、自社の従業員にM&Aのことを契約前に開示してしまいました。
従業員は突然のことに驚き、M&Aに反対し、ほとんどの従業員が退職され、
勿論のことですが、そのM&Aは破談になり廃業を余儀なくされました。

ここがポイント

M&Aは「秘密保持に始まって秘密保持に終わる」と言われるほど秘密保持が重要です。
クロージング(資金決済)が実行されるまで、関係者(取引先/仕入先/外注先/従業員)には、
M&Aを秘密にする必要があります。
また従業員に開示する際にも事前にシナリオを策定しておく必要があります。
ちょっとしたコツで受け止め方が180度変わるものです。

失敗事例② リスク情報の重要性

TOP面談が終わり基本合意締結。大枠の譲渡条件も決定しました。
ところが買収監査(DD)に入ると様々な問題が発覚。
残業代の未払や、民事訴訟が考えられる事案等、アドバイザーが確認していた事実と異なる情報が出てきました。
相手方はお怒りになり、当然破談になりました。

ここがポイント

M&Aは交渉事です。相手方との信頼関係が非常に重要になります。
「事前にしっかりと情報を開示している企業」と「後から不都合な情報を開示する企業」では、
どちらの企業が信頼できるでしょうか。
相手にとってリスクとなる情報、資料は始めから開示することが重要です。

失敗事例③ M&Aを開始するタイミング

M&Aをなかなか決断できなかった譲渡オーナー。
M&Aを決断したタイミングは、自社の業績が下降しきった時でした。
株価は2年前と比較して半額に。
アドバイザーが様々な資料を相手方に提示して粘り強く交渉を行っても、譲渡額が変わることはありませんでした。

ここがポイント

タイミングを逃すと株価が大きく変わります。
後継者が周りに見当たらない場合、タイミングを見誤らないことが重要です。

いかがでしょうか。

「失敗事例から学び成功を導く」ためにも弊社が皆様のアドバイザーとして
皆様の成功のお手伝いが出来ますことを楽しみにしています。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

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