M&Aの知識コラム三村のコラム

後悔しないM&Aの専門家の選び方~売り手(譲渡企業)編~【M&Aの知識/三村のコラム】

投稿日:2020年10月2日(金曜日)

みどり未来パートナーズが売却のお手伝いをするのは大半が後継者不在の中小企業です。
会社売却の当事者となる中小企業のオーナー経営者様のほぼ100%が、会社を売却することが初めての方です。

「M&Aで会社を売却したいが、誰に頼めば良いか分からない、、」

そんな悩みをお持ちの中小企業のオーナー経営者様に、これまで30件超の中小企業のM&Aをお手伝いしてきたM&Aアドバイザー三村が後悔しないM&Aの専門家の選び方をお教えします。

1.M&Aの専門家の種類
①大手M&A仲介会社
②中小M&A専門会社
③メガバンク・証券会社など大手金融機関
④地方金融機関
⑤会計士・税理士
2.M&Aの専門家の特徴

①大手M&A仲介会社
中小企業のM&A仲介と言えば、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライクの上場3社の知名度が高く、マッチング力は非常に高いのですが、手数料も比較的高い場合が多いです。
社員数が多いこともあり、経験豊富な担当者ばかりではなく、新卒採用や中途採用でM&A経験の浅い担当者も一定数見受けられるので、どのようなアドバイザーが自社の担当になるのか気になります。

(ア)対応エリア
全国に対応。ただし、拠点は東京、大阪、全国主要都市が中心で、各拠点からの出張対応となる場合には担当者との面談まで日数が掛かる場合も。

(イ)得意とする売上規模
譲渡希望企業の売上5~50億円程度がボリュームゾーン。

(ウ)マッチング力
全国の大手優良企業を中心に様々な買い手企業の情報を持っており、マッチング力は非常に高いです。ただし、買い手企業の規模も大きく、売上1~5億円の譲渡希望企業の場合、事業規模が小さいことで買収対象外となることもあります。

(エ)料金
着手金(100万円~)が必要かつ成功報酬(最低1,500万円~)が高額であり、中小企業の中でも規模の小さい会社は手数料の負担が非常に大きくなる可能性があります。

(オ)対応力
M&A仲介の専門会社として、会社全体の組織としての専門性は高いです。
ただし、社員数が多いため、経験豊富なM&Aアドバイザーかそうでないか、担当者の力量のバラつきが大きく、良いアドバイザーが自社の担当になるとは限りません。
M&Aの成否は、交渉力などM&Aアドバイザー個人の能力に左右される部分も大きく、特にエース級の経験豊富なアドバイザーは売上規模の大きな会社を担当することが多いようです。
経験豊富なM&Aアドバイザーが自社の担当者となるかどうかがポイントとなります。

(カ)大手のM&A仲介会社を選ぶと良い売り手(譲渡企業)のイメージ
①売上5億円超の企業
②着手金として最低100万円以上、成功報酬として最低1,500万円以上を支払ってもよいと考える企業
③上場クラスの大手企業に自社を売却したい企業(ただし、上場企業の買収審査は非常に細かく、厳しいことが多いので注意が必要。)
④売上規模が大きいことや業種・業態が特殊であり、全国から買い手を探さなければならない企業

②中小のM&A専門会社
近年M&Aを支援する会社が増加していますが、兼業も多くM&A支援を専業とするM&A専門会社は意外に少ないです。
名南M&A、インテグループ、みどり未来パートナーズなど、社員数十名から社長1名の個人会社まで規模は大小さまざま。
ただし、少数精鋭の会社が多く、経験豊富なアドバイザーが担当となる可能性が高いです。

(ア)対応エリア
対応エリアは、各社によって様々。ホームページなどで全国対応を標榜していたとしても、基本的には本支店のある近隣エリアでなければ、素早い柔軟な対応は難しいです。

(イ)得意とする売上規模
各社によって得意とする規模は異なり、譲渡希望企業の売上1~20億円程度がボリュームゾーン。

(ウ)マッチング力
全国の買い手情報を幅広く保有している中小のM&A専門会社は少ないです。
買い手情報は対応エリア内の企業に偏っていることが多く、業歴の長い会社ほどより多くの買い手情報を保有している傾向が強いです。
ただし、最近は全国の有力な買い手企業が利用するM&Aマッチングサイトが多数あり、中小のM&A専門会社でも全国から買い手を募集することが可能となっています。
また、業歴の長い中小のM&A専門会社であれば、大手M&A仲介会社が網羅していない地方の優良中小企業(売上1~10億円クラス)の買い手情報を保有しています。

(エ)料金
大手M&A仲介会社より売上規模の小さい会社のM&A支援を多く行っていることもあり、大手M&A仲介会社と比べて手数料が安く、着手金を取らない会社もあります。

(オ)対応力
組織的な対応というより、担当となるM&Aアドバイザー個人の能力に依存した対応となる可能性が高いです。

(カ)中小のM&A専門会社を選ぶと良いと思われる売り手(譲渡企業)のイメージ
①売上1~20億円の企業
②素早い対応、柔軟な対応を求める企業
③自社と社風の合うオーナー企業への譲り渡しを希望する企業

③メガバンク・証券会社など大手金融機関
大半の大手金融機関は、M&Aの専門部署を設置していますが、大手企業のアドバイザーに特化しており、中小企業のM&A仲介を支援することは少ないことから、あまり知られていません。
ここ数年、証券会社が大手企業だけでなく、中小企業のM&A支援にも力を入れており、地方でも証券マンからM&Aの案内を受けたという話をよく耳にします。
ただし、証券会社は中小企業のM&A支援のノウハウを持っていないため、大手M&A仲介会社と提携し、中小企業のM&Aについては、提携M&A会社が実務を行っているのが現状のようです。

④地方金融機関
金融機関の監督官庁である金融庁からの指導もあり、ほぼ全ての地方金融機関がM&Aの支援を行っています。
ただし、M&A支援の取組みが早かった金融機関とそうでない金融機関の力量は著しい差があります。
また、金融機関は3~4年毎の定期的な異動があるためM&A経験の豊富な担当者は比較的少ない傾向にあります。

(ア)対応エリア
本店のある都道府県の近隣エリア。
広域に支店を展開している地方銀行もありますが、M&A専門の担当部署は本部(本店)にあることが多く、素早い対応が見込めるのは、支店展開エリアではなく、本店近隣エリアに限られるでしょう。

(イ)得意とする売上規模
売上1~20億円程度。

(ウ)マッチング力
地方金融機関は、本店の地元エリアにおいて、圧倒的な企業情報を保有していますが、M&Aのマッチング(買い手探索)にその情報を生かしている地方金融機関は一部に限られるようです。
2000年代からM&Aに積極的に取り組んできた一部の地方金融機関は、地元エリアの買い手情報(買収ニーズ)を把握していますが、多くの地方金融機関は本格的にM&Aに取り組んだのが2010年代に入ってからであり、買い手情報が不足しているようです。
また、当然と言えば当然ですが、自金融機関と取引のある買い手企業を優先的に紹介する傾向が強いようですので注意が必要です。

(エ)料金
大手M&A仲介会社と比べて成功報酬は安い傾向にありますが着手金を取る金融機関が多いです。
また、第二地方銀行や信用金庫など、自社で専任のM&Aアドバイザーを配置していない地方金融機関も多く、それらの地方金融機関は提携M&A会社の紹介を行うのみで、手数料は各提携M&A会社によって様々です。

(オ)対応力
M&A支援の実務は、属人的にノウハウが蓄積される傾向が強いですが、定期的な部署異動を行う金融機関の特性上、経験豊富なアドバイザーを長期に渡って配置することができない事情があります。そのため、3~4年を超えるM&Aキャリアを持つ担当者に当たることは比較的少ない傾向にあります。

(カ)地方金融機関を選ぶと良いと思われる売り手(譲渡企業)のイメージ
①売上1~20億円の企業
②地元企業から買い手を探したい企業

⑤会計士・税理士
自社の業態や財務内容を把握している顧問会計士・税理士は、身近な専門家として頼れる存在です。
ただし、彼らは会計や税務の専門家であり、M&Aの専門家ではないことを理解しておくことが必要です。
中には、デューデリジェンスを中心にM&A支援の経験がある会計士・税理士もいますが、M&Aの専業ではないため、絶対的に経験値が不足していることが多いようです。

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3.M&Aの専門家を選ぶポイント
1.自社の売上規模に見合っているか(手数料が高額過ぎないか)
2.自社に最適な買い手を探すことができるか
3.担当アドバイザーが経験豊富で信頼できるか

最後になりますが、M&A取引の成否はM&Aアドバイザーの属人的な能力に左右される部分が大きく、経験豊富で信頼できるM&Aアドバイザーに任せることがM&Aを成功させる秘訣です。
M&Aでの会社売却は、経営者として一生に一度あるかないかのビッグイベントですので、複数の専門家に相談し、経験豊富な信頼できるM&Aアドバイザーを見つけてください。

この記事の執筆者

三村 尚(情報開発部長 M&Aシニアエキスパート)

横浜国立大学卒。金融機関(法人営業)、調査会社(調査、営業)を経て、2012年から現職。多種多様な業種において、延べ2,000社の企業評価を実施。中小零細企業の後継者不在案件を中心に50件超のM&Aを支援。

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