歯科業界M&Aの現況
①院長(理事長)の高齢化
治療には手元の細やかな作業が求められるため、60歳を迎えられる近辺で視力や体力の低下に伴い、引退を考えられる先生が少なくありません。
また、運営には歯科医師免許が必要であり、子息が歯科医師をされていない等、後継者不在の医院が多く、今後も後継者不在や廃院を防ぐためのM&Aがますます増加していくと予想されます。
②競争環境の激化
フッ化物の普及や虫歯予防への意識の高まりから、子どもの虫歯(う蝕)有病率が低下し、虫歯治療だけでは医院の収益を上げることが難しくなってきています。
また、競争が激化するなか、予防歯科/訪問歯科/審美歯科/矯正歯科など各専門分野に特化した診療に注力している歯科医院が増加しています。
別の専門分野への進出や規模拡大、他エリアへの進出のために、M&Aを活用するケースもあります。
M&Aは増え続ける競合と専門分野において差別化を図り、生き残るための手段の1つとなっています。
③新たに開業を考えている歯科医師による買収
新規開業を考えている歯科医師による買収も盛んに行われています。
歯科の開業資金は一般的なユニット3台程度の診療所の場合、5,000万円以上と言われています。
しかし、M&Aでは設備や従業員を引き継げるため、開業コストを抑えられるだけではなく、前院長のノウハウや既存の患者も引き継げるので、開業希望の歯科医師がM&Aを行うケースが増えています。