前回、コロナ融資の過剰債務の打開策としての「中小企業版私的整理ガイドライン」の紹介と、
過剰債務企業だからこそ、収益部門や事業を強化し、中長期的に黒字を維持、拡大していく
目線を持つ必要性について触れました。
今回は、少し踏み込んで、どのような視点で黒字部門を強化していくべきなのかを考えてみます。
ポイントは「労働生産性」「一人あたり人件費」「労働分配率」
労働生産性とは、企業の従業員一人当たりの付加価値を、
一人あたり人件費とは、一人あたりの人件費を、
労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合を示します。
単純に黒字強化(拡大)ということを前提として考えると、低い人件費で付加価値を向上する、
つまり、「労働生産性↑」「一人あたり人件費↓」「労働分配率↓」という経営を
していけば良いということになるのですが、現状の人材不足が顕在化している中では、
「労働生産性↑」「一人あたり人件費↑」「労働分配率(業界黒字企業並み)」
(※業界健全企業や成長企業の分配率)というトレードオフを実現する経営が求められます。
「労働生産性↑」「一人あたり人件費↑」「労働分配率(業界黒字企業並み)」を目指すには
財務省の法人企業統計調査の大企業、中小企業別の労働生産性にヒントがあります。
大企業と中小企業の差に倍以上の開きがあるのが分かります。
資本金1億円を区切りにしている差でありますが、企業規模の差と読み解くことができます。
労働生産性の推移(2003年度~2019年度)
(出典)中小企業庁「中小企業白書」
(資料)財務相「法人企業統計調査年報」
(注)大企業は資本金10憶円以上、中小は資本金1憶円未満の企業とする。
さらに、その企業規模を実現し、「労働生産性↑」「一人あたり人件費↑」
「労働分配率(業界黒字企業並み)」のトレードオフを実現するポイントを、
企業をご支援している経験から紐解いてみます。
上記2点を実現していくという観点をもつことで、結果として、「労働生産性↑」、
「一人あたり人件費↑」になることは、感覚的にも分かって頂けると思います。
さらに、戦略的な観点で重要になるのは、「労働分配率(業界黒字企業並み)」の実現です。
先述の2点のポイントを実現していくには、人、教育、設備投資、マーケティング費用、
そして、M&Aなど、先行投資が必要になります。
つまり、適正な分配コントロールをすることで、「労働生産性↑」、「一人あたり人件費↑」を
将来的に実現している、先行投資ができる収益性を常に意識している経営が
求められるということだと思われます。
付加価値には、控除法と積上法2つの算出方法があります。
控除法:付加価値=売上高-(原材料+外注加工費+水道光熱費+消耗品費+商品仕入)
※括弧内の費目は当期の売上高に対応したもの
積立法:付加価値=労務費+人件費+賃借料+租税公課+特許使用料+純金利費用+利払後事業利益
財務省が出している、法人企業統計調査は、積立法を利用しています。
前回、コロナ融資の過剰債務の打開策としての「中小企業版私的整理ガイドライン」の紹介と、過剰債務企業だからこそ、収益部門や事業を強化し、中長期的に黒字を維持、拡大していく目線を持つ必要性について触れました。
今回は、少し踏み込んで、どのような視点で黒字部門を強化していくべきなのかを考えてみます。
ポイントは「労働生産性」「一人あたり人件費」「労働分配率」
労働生産性とは、企業の従業員一人当たりの付加価値を、一人あたり人件費とは、一人あたりの人件費を、労働分配率とは、付加価値に占める人件費の割合を示します。
単純に黒字強化(拡大)ということを前提として考えると、低い人件費で付加価値を向上する、つまり、「労働生産性↑」「一人あたり人件費↓」「労働分配率↓」という経営をしていけば良いということになるのですが、現状の人材不足が顕在化している中では、「労働生産性↑」「一人あたり人件費↑」「労働分配率(業界黒字企業並み)」(※業界健全企業や成長企業の分配率)というトレードオフを実現する経営が求められます。
「労働生産性↑」「一人あたり人件費↑」「労働分配率(業界黒字企業並み)」を目指すには
財務省の法人企業統計調査の大企業、中小企業別の労働生産性にヒントがあります。
大企業と中小企業の差に倍以上の開きがあるのが分かります。
資本金1億円を区切りにしている差でありますが、企業規模の差と読み解くことができます。
労働生産性の推移
(2003年度~2019年度)
(出典)中小企業庁「中小企業白書」
(資料)財務相「法人企業統計調査年報」
(注)大企業は資本金10憶円以上、中小は資本金1憶円未満の企業とする。
さらに、その企業規模を実現し、「労働生産性↑」「一人あたり人件費↑」「労働分配率(業界黒字企業並み)」のトレードオフを実現するポイントを、企業をご支援している経験から紐解いてみます。
上記2点を実現していくという観点をもつことで、結果として、「労働生産性↑」、「一人あたり人件費↑」になることは、感覚的にも分かって頂けると思います。
さらに、戦略的な観点で重要になるのは、「労働分配率(業界黒字企業並み)」の実現です。
先述の2点のポイントを実現していくには、人、教育、設備投資、マーケティング費用、そして、M&Aなど、先行投資が必要になります。
つまり、適正な分配コントロールをすることで、「労働生産性↑」、「一人あたり人件費↑」を将来的に実現している、先行投資ができる収益性を常に意識している経営が求められるということだと思われます。
付加価値には、控除法と積上法2つの算出方法があります。
控除法:付加価値=売上高-(原材料+外注加工費+水道光熱費+消耗品費+商品仕入)
※括弧内の費目は当期の売上高に対応したもの
積立法:付加価値=労務費+人件費+賃借料+租税公課+特許使用料+純金利費用+利払後事業利益
財務省が出している、法人企業統計調査は、積立法を利用しています。
この記事の執筆者
澤田 兼一郎(代表取締役社長/中小企業診断士)
立命館大学経済学部経済学科卒後、第二地方銀行を経て当社に入社。中小企業を中心に、経営計画や事業計画の実行性を高める、現場主義のコンサルティングを実施。特に中小建設業、製造業の経営管理体制の構築、実行力を高めていく組織再構築等のノウハウ等について評価を受ける。
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