アフターM&Aコラム事業拡大譲受企業様(買収検討企業様)向け

アフターM&A(PMI)~M&A虎の巻④~【M&Aの知識/アフターM&A】

投稿日:2021年2月18日 最終更新日:

今回のコラムでは、M&Aを決断された譲受企業様、譲渡企業様の双方より、よく御相談を頂く「M&A後のすれ違い防止策」について、ご案内させて頂きたいと思います。

M&Aが成功するためには、M&Aが”離婚”とならないように、それぞれの立場で心構えが必要です。

M&A後に、「このM&Aをなかったことにして欲しい」と後悔しても元に戻りません。

M&Aを検討されているオーナー様は「M&A関係者全員が”喜ぶ”」ためにも、M&Aの実行をされる前に、このコラムをぜひお読み頂きたいと思います。

M&A後のすれ違い

M&Aを実行する前と後で、譲渡オーナー様の権限は大きく変わります。

特に、「①業務命令権」「②人事権」「③資金管理の権限」は譲受企業に移りますので、譲渡後、譲渡オーナー様はあくまでも経営の「補助、補佐」をする立場になるわけです。
(※譲渡オーナー様がそのまま社長を継続される例外はあります。)

権限譲渡

・あの従業員は譲渡前、にこにこして私の言うことを聞いていたのに全く言うことを聞かなくなった。
・私が信頼していなかった人間を部長職に据えて昇給した。
・私がやっていた経理処理の仕組みが変わってしまってついていけない。

といったお声を頂くのはそのためです。
ただ、その「変化」は本当に間違っているのでしょうか?

元々、譲受企業は少なくないお金を投資してM&Aを実行しています。
投資を回収する必要があるわけです。
投資を回収する=M&Aした企業を良くしたいと思うからこそ、必要な変化を求めることになります。

それでは、それぞれの立場で必要なすれ違い防止策について、ご案内させて頂きたいと思います。

M&A譲渡オーナー様 すれ違い防止策
  • 譲受企業が仕組みを変化させることを予め想定しておく=変化を厭わない
  • 統合後はあくまでも補助に徹する
  • TOP面談の際に譲渡後のビジョン、変化について確認しておく
  • 誠意ある引継ぎを行う=最後まで責任を持つ
M&A譲受企業様 すれ違い防止策
  • 変化の目的と効果についてしっかり譲渡オーナーに説明する
  • 変化のスピードがゆっくりでもあせらない
    (=人間関係が悪くなる方が業績に与えるダメージは大きい)
  • TOP面談の際にビジョンと、想定される変化を隠さず話す
譲渡オーナー様/譲受企業様共通 すれ違い防止策
  • 対話とルール設定をしっかりと行う
    (例えば、利益という定義一つでも業界によってとらえ方が異なります。
    製造業での利益は粗利が多く、サービス業での利益は営業利益を多く指す等)
  • PMIができるM&Aアドバイザーに頼む

M&Aアドバイザーは、M&A成立に向けて双方の間でしっかりとコミュニケーションをとっています。直接的に言いづらいことも、間に入れるアドバイザーがいればしっかりと想いが伝わります。

当事者同士で解決が難しいケースもありますので、M&A際にはぜひ、アフターM&A(PMI)に詳しいアドバイザーを選んで頂きたいと思います。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

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