M&Aの知識コラム譲渡企業様(譲渡オーナー様)向け

M&A会社に騙された?失敗実例とM&A詐欺に遭わないための対応策を解説します

投稿日:2024年12月16日 最終更新日:

M&Aアドバイザー会社が近年急増している中、譲渡予定のオーナー様から弊社にセカンド・オピニオンとしてご相談を頂く機会が増えています。

M&Aアドバイザー会社の見分け方は以前のコラムでご案内しましたが、今回はM&Aアドバイザー会社へ依頼後に発生した様々な失敗事例をご紹介します。

皆様がM&Aで困らないよう、その対応策についてこのコラムでしっかりとご説明いたします。

事例① S社 岡山県 サービス業

S社様が依頼されたアドバイザー会社は、非常に有名な上場企業のM&Aアドバイザー会社です。

依頼して半年ほど経ってから、関西の企業様が買い手として現れました。
しかし、S社のオーナー様は基本合意の条件を疑問に思い、弊社にご相談に来られました。

基本合意の内容が譲渡に多額の税金が必要になるため、M&A成立後はS社のオーナー様が負担する借入金が3千万円残るスキームとなっていたのです。

通常、M&Aの実行時は譲渡後にオーナー様が負担する借入金が残らないよう、譲渡条件やスキームを買手企業と交渉・設定します。

しかし、そのM&Aアドバイザー会社は譲渡後の手残りを計算せずに、S社のオーナー様に基本合意書に調印するよう依頼していました。

最終的にその買手企業とはブレイクし、弊社が改めてアドバイザーを行い、S社様は近県の非常に素晴らしいお相手とM&Aが成約されました。

ご相談に来られなければ、当初の非常に条件の悪いM&Aが成立する可能性があった事例です。

対応策
M&Aで譲渡を行う際、ほとんどのケースで譲渡オーナー様はM&Aアドバイザー手数料の他に、譲渡に伴う税金を支払う必要があります。
譲渡条件が判明した際は、身近にいらっしゃる顧問税理士の先生やしっかりとしたM&Aアドバイザー会社にセカンド・オピニオンを求めることが重要です。

失敗事例② M社 香川県 運送業

M&Aアドバイザー会社から、「関西の有力企業が貴社を買収したいと希望している」との手紙が届きました。
そのため、M社のオーナー様はM&Aアドバイザー会社に決算書を三期分送り、株価評価を依頼しました。

ところが、1ヶ月が経ってもそのM&Aアドバイザー会社から音沙汰がありませんでした。

実はそのM&Aアドバイザー会社は、同時期に香川県内で同様の手紙を数十社に送付していたのです。

弊社は香川県に拠点があり、同時期に運送業の複数オーナー様からご相談を頂いたため、発覚した事例です。

結局、M社様はM&A自体を進めることを中止されました。

対応策

M&A会社が本当に信頼できるアドバイザー会社なのかどうかしっかりと調べることが重要です。
業歴の長さやWEBなどの公開情報を確認したり、帝国データバンク、商工リサーチ等の信用調査機関にご相談されることも解決策の1つです。
また、決算書を送付する前に必ず「秘密保持契約書」もしくは「秘密保持契約書の差入」を依頼して下さい。

今回のケースではM&Aアドバイザー会社がM社様と秘密保持契約を行わずに決算書を入手しており、非常に危険な状況です。

最近は特に秘密保持を守らないM&A会社が増えているため、十分にご注意ください。

失敗事例③ H社 愛媛県 建設関連業

H社は大手M&Aアドバイザー会社に着手金200万円を支払い、M&Aを依頼されていました。
ところが1年が経ってもM&Aが成立しません。

不信に思われたH社のオーナー様は、士業の先生を介して弊社にご相談に来られました。

対応策

M&Aを進める際には必ず、「譲受候補先のリスト(マッチングリスト)」がM&Aアドバイザーから
渡されます。

マッチングリストの数と質も重要ですが、本当に重要なことは「交渉履歴」です。
しっかりとしたアドバイザー会社は実際にどんな交渉を相手と行ったのか、交渉履歴を記載しています。

また、このケースでM&Aが成立する可能性が高い候補先は近県や同じ県の企業であるはずでしたが、リストにはほとんど記載されていませんでした。

大手M&Aアドバイザー会社は、全国でのマッチングに非常に強い特徴がありますが、場合によっては地場の金融機関やM&Aアドバイザー会社しっかりと相談する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は、M&A会社によって引き起こされた失敗事例とその対応策についてご案内しました。
もし、M&Aの進み具合や契約内容にお悩みになった際は、セカンド・オピニオンとしてお気軽にご相談ください。

皆様のM&Aが成功するよう弊社も尽力しています。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

メルマガ登録

M&Aの事例、M&Aが成功するための知識、最新経営情報などについて弊社コンサルタントが執筆したコラムの新着情報や、新サービスのご案内など、経営者の皆様にお役立ちの情報をお届けします。
※配信は月に1回程度、いつでも配信解除できます。

合わせて読みたいコラム

M&A後のトラブル防止!今、知りたい最終契約書に必要な内容とそのポイントをご案内します。

食品卸売業×不動産業 株式譲渡案件成約のご紹介

M&Aガイドラインの大幅リニューアルでM&A業界が大きく変わる!?改定ポイントを徹底解説します