M&Aが一般的になった昨今、異業種間のM&Aを検討されている経営者の方が増えています。
ただ、バブル期に様々な企業が新規事業に失敗した経験は皆様の記憶に残っておられるのではないでしょうか?
みどり合同税理士法人グループでは実際に、建設業、建設コンサルティング業、介護事業、貸金業などの異業種M&Aを実行し、様々な事業を運営しています。
今回は弊社グループの経験も踏まえて、異業種M&Aの成功術をご案内いたします。
異業種M&Aを成功に導く3つのポイント
ポイント1. 業界知識+優れたリーダーシップ(マネジメント能力)を持つ経営候補者の有無
異業種M&Aを成功させるためにまず検討頂きたいことは、「自分の周りにその業種の知識や経験を持つ方」がいらっしゃるかどうかです。
当然のことですが、譲り受ける事業は異業種ですので、買収側にはその事業に関するノウハウや知識、経験が不足していることが多々あります。
そのため、譲渡後の運営を円滑に行うためには経営者が信頼できる業界知識を持った経営候補者が欠かせません。
また、譲渡後の運用も見据えると人のマネジメントも必ず必要になります。
「業界知識+マネジメント能力」を持った方が周りにいるかどうかは異業種M&Aの重要なポイントになります。
もし、周りに該当する経営候補者がいらっしゃらない場合、次善の策は譲渡オーナー様になるべく長い期間、顧問としてお手伝い頂くということになります。
基本合意を行う前に双方で顧問期間、譲渡後の関わり方、譲渡後の目標について話し合いを行って頂きたいと思います。
ポイント2. ビジョンの策定と経営の見える化(目標設定・数値管理)
異業種M&Aではビジョンを策定することが、通常のM&Aよりも非常に重要だと私は感じています。
ビジョンがあると譲渡側の従業員が共感を持って協力してくれる可能性が高くなるためです。
また、「経営の見える化」も重要なポイントです。
異なる文化を融和させるためには分かりやすい目標を設定して、共通言語としての数値管理を定期的に行うことが重要になります。
例えば、製造業の利益は「粗利益」を指すことが多く、サービス業の利益は「経常利益」を指すことが多いということからも分かるように、言葉の使い方ひとつをとっても異なる部分が出てきます。
「共通の言語や指標/目標」を作って「数値管理」を行っていくことがポイントです。
ポイント3. 企業文化の融和
前述したように言葉ひとつとっても異なる文化を持つ企業同士がM&Aをする場合、文化の違いが課題や問題となります。
異業種M&Aの成功にはM&A前から企業文化の理解を深め、融和策を検討しなければなりません。
例えば、従業員が新しい文化に順応しやすい環境を整え、コミュニケーションを円滑に行うための仕組みづくりは以下のようになります。
ビジョンの説明
課題となっていることや
悩みを聞く
フィードバック面談
目標と現状について
フィードバックを行う
ビジョンの説明
課題となっていることや悩みを聞く
③3ヶ月に1度のフィードバック面談
目標と現状についてフィードバックを行う
また、弊社では実際にコミュニケーションの仕組みとして、以下のようなことを行っています。
- 経営幹部の会議をオンラインでグループ全体で行う
- 改善のための委員会/分科会を新しく作る
- コンパ、表彰、イベント等の企画を改めて新設する
ぜひ、M&A前にご検討頂きたいと思います。
以前のコラムで異業種M&Aを実行後の譲受企業様の実例もご紹介しています。ぜひ、ご覧下さい。
必見!M&A成立後の譲受企業はどうなる?③
まとめ
いかがでしょうか。
異業種M&Aを成功するポイントやコツについてご案内させて頂きました。
もし異業種のM&Aにお悩みになった際にはお声掛け頂けますと幸いです。
皆様がM&Aに成功するよう弊社も尽力しています。
この記事の執筆者
新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)
早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。
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