M&Aの知識コラム譲渡企業様(譲渡オーナー様)向け

秘密保持の重要性とは?M&A株価評価に落とし穴があります

投稿日:2023年11月17日 最終更新日:

会社譲渡の御相談を頂いた際は、まず最初に譲渡オーナー様から決算書を3期分頂戴して株価評価を行います。
(※簡易株式評価と一般的に呼ばれています。)

事前に株式価値を算定する理由は「譲渡対価の目安」を作り、譲渡オーナー様の人生設計を行いやすくするためです。

そのため、ほとんどのM&Aアドバイザーの方が弊社と同じように株式価値を算定していますが、実はそこに秘密保持の大きな落とし穴があります。

今回のコラムでは譲渡を検討されるオーナー様に向けて、「秘密保持の重要性」をしっかりと把握して頂き、「株価評価の際に落とし穴にはまらない」ために、必要なポイントについてご案内いたします。

M&Aの成功を実現されるためにも今回のコラムをぜひお読みください。

M&Aにおける秘密保持の重要性

M&Aは「秘密保持に始まって秘密保持に終わる」と言われるほど秘密保持が重要です。
M&Aで秘密保持が重要とされる理由は以下のように大きく3つあります。

Point.1

M&Aは取引先情報、仕入先情報、従業員情報等の機密情報を譲受企業に開示するため特に同業でM&Aを検討する場合、秘密情報を口外された譲渡企業に大きな損害が出る

Point.2

M&Aを検討しているという情報自体が外部に漏れることによって、譲渡企業の中で社員や取引先の動揺・不信、また金融機関からの融資条件の変更など悪影響が生じる可能性がある

Point.3

譲受企業が上場企業の場合、M&Aを検討していることが外部に漏れてしまうと、インサイダー取引に該当する可能性がある等、譲渡企業が情報を管理できない企業だと思われM&Aが成立しない

上記のような事態を防止するために秘密保持契約(NDA/CA)があり、譲受企業、譲渡企業、M&Aアドバイザーの関係者全てが秘密保持を徹底することが求められます。

M&A株価評価の落とし穴

前述したように譲渡を検討する際は株価評価を行います。

しかし、M&Aアドバイザーの中には残念ながら秘密保持について差入、もしくは秘密保持契約(NDA/CA)を締結せずに評価を行っている方がいらっしゃるようです。

実際に秘密保持を約束せずにM&Aアドバイザーが評価を実施後、譲渡オーナー様の事情が変わりM&Aを中止したケースでは、M&Aを検討した事実が取引先に情報漏洩して周囲で信用不安が生じる事態になったことがあります。

M&Aの落とし穴にはまらない~M&A検討に必要なポイント~

M&Aを検討される際、まずM&Aアドバイザーの会社や専門家から「秘密保持の差入書」を頂く、もしくは双方間で「秘密保持契約(NDA/CA)の締結」を行う等、秘密保持の徹底を必ず行って下さい。

秘密情報が漏洩すると譲渡企業様にとって大きなリスクが生じます。

リスクを避け、M&Aで成功するためにしっかりとした対応ができるM&Aアドバイザーを選んで頂きたいと思います。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

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