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IT・システム開発業界におけるM&Aの現況とチェックポイント

投稿日:2023年2月22日 最終更新日:

IT・システム開発業界は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に伴う急速な市場拡大が進む一方、人材不足が大きな課題となっており、優秀なIT技術者やノウハウの獲得を目的としたM&Aが増加しています。

今回はIT・システム開発業界のM&Aについて現況とチェックポイントをご紹介させて頂きます。

IT・システム開発業界M&Aの現況

①急拡大している市場
新型コロナウイルスの後押しもあり、IT導入やDX化の流れが急速に進み、IT・システム開発業界は大きな変革期を迎えています。
AIやビッグデータの活用、5Gの普及など、デジタル技術の進展は活発化し、今後も更に市場が拡大していくと予測されます。

②IT人材の不足と多重下請け構造
IT・システム開発業界は新しい技術が次々に登場し、変化の激しい業界です。
常に新しい知識や専門性の高い技術を求められるため、優秀なIT人材を確保することが重要です。

しかし、労働人口の減少と急速な市場規模拡大の影響で、IT人材が慢性的に不足しており、長時間労働が常態化しています。

また、業界構造が一次下請け、二次下請けといった具合に「多重下請け構造」となっていることも、労働環境悪化の原因のひとつと言えるでしょう。

③M&Aが活発化
IT技術は企業の成長に欠かせない分野のため、様々な業界において需要が高まっています。
優秀な人材やノウハウの獲得、多重下請け構造からの脱却のために内製化を図る目的で、M&Aが活用されています。

その他にも、自社の新ビジネス構築を目的とした異業種間のM&A、クラウド化の進展に伴う業界再編を目的としたM&Aなど、同業・異業種を問わず、今後もM&Aが増加していくと予測されます。

IT業のM&Aにおける重要チェックポイント

①開発言語・開発実績

ここをチェック

従業員が習得しているプログラミング言語や過去の開発実績を確認して下さい。

今後、必要とされる最新の言語が扱えるのか、将来性があるか、M&A後のビジョンや目的と照らし合わせる必要があります。

また、開発実績やどの系統のシステム開発・運用が得意なのか、自社に流用が可能かを確認して下さい。その際、開発に携わった従業員が離職している場合もあるので、注意が必要です。

②従業員個々のスキル

ここをチェック

どんな領域のどんなシステムを開発したのか、開発言語、開発実績も重要ですが、従業員自身の業務スキルがどういったものかということも非常に重要になります。

システムの開発工程(流れ)は、大まかに以下の流れで進みます。

・要件定義
・基本設計
・詳細設計
・プログラミング
・コーディング
・テスト設計
・テスト実施
・運用・保守

それぞれ業務スキルに応じて担当が分かれていることが多いのですが、一般的に上流工程が出来るほど能力的に高いと判断され、俗にSE(システムエンジニア)と呼ばれる人はシステムの要件定義/システム設計まで出来る人を指しますが、少数です。

また、開発チームの運営経験として、PM(プロジェクトマネージャー)、PL(プロジェクトリーダー)ができる人材がどれだけいるかも重要になります。

従業員のスキルが譲渡後の事業に直結するため、詳しく確認しておきましょう。

まとめ

いかがでしょうか。

IT・システム開発業のM&Aは必ずチェックすべきポイントがあります。
業界に精通していて、信頼できるアドバイザーに御相談されることが大切です。

皆様の成功するM&Aを実現するために弊社も尽力しています。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

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