M&Aの知識コラムビフォーM&A事業拡大譲渡企業様(譲渡オーナー様)向け

知らないと損する!一目で分かるM&A株価評価の上げ方

投稿日:2023年1月31日 最終更新日:

事業承継型のM&Aが近年、数多く行われている中で、M&Aの株式価値の算定方法、株価評価の上げ方についてアドバイザーとしてご質問を頂く機会が増えました。

今回のコラムでは、M&Aの一般的な株式価値の算定方法、譲受企業の株価に対する考え方をご説明した上で、「M&Aにおける株価評価の上げ方」についてご案内させて頂きたいと思います。

譲渡オーナー様にとって、M&Aは一生に一度の機会となることが多いものです。

M&Aの成功を実現されるために、ぜひ今回のコラムをお読み頂きたいと思います。

M&Aにおける一般的な株式価値算定方法と譲受企業の考え方
算定方法 詳細 主な特徴 算定方法詳細
インカムアプローチ 将来期待収益ないしはC/Fを元に割引率を乗じて現在価値を算定する手法   将来性や会社特有の価値を反映できる反面、恣意性の排除が難しく、主観的な評価になりやすい ・DCF法
・配当還元法
・収益還元法など
マーケットアプローチ 対象企業に類似した上場企業の株価や取引事例・経営指標を基準として評価する方法 客観性に優れる一方、類似した企業がない場合に適切な算定が難しい ・マルチプル法
・類似取引比較法
・市場株価法
コストアプローチ 対象企業の純資産価値に着目して企業価値を評価する方法 客観性が期待できる一方、将来収益や技術力が評価されづらい ・年買法
・純資産価額法
算定方法 インカムアプローチ
詳細 将来期待収益ないしはC/Fを元に割引率を乗じて現在価値を算定する手法 
主な特徴 将来性や会社特有の価値を反映できる反面、恣意性の排除が難しく、主観的な評価になりやすい
詳細 ・DCF法
・配当還元法
・収益還元法など
算定方法 マーケットアプローチ
詳細 対象企業に類似した上場企業の株価や取引事例・経営指標を基準として評価する方法
主な特徴 客観性に優れる一方、類似した企業がない場合に適切な算定が難しい
詳細 ・マルチプル法
・類似取引比較法
・市場株価法
算定方法 コストアプローチ
詳細 対象企業の純資産価値に着目して企業価値を評価する方法
主な特徴 客観性が期待できる一方、将来収益や技術力が評価されづらい
詳細 ・年買法
・純資産価額法

上記のようにそれぞれ特徴がありますが、中小企業のM&Aでは、コストアプローチの一種である「時価純資産+営業利益年数分(3年~5年)」が株価として算定されるケースが非常に多くなっています。

しかし、上記で算定される金額通りに譲受企業が評価するかというと、実際はそうではありません。これらはあくまでも目安です。

譲受企業は「投資したコストを結局何年で回収できるか?」という視点を持って判断しています。

M&Aで有名な日本電産では、回収に7年かかるM&Aは絶対に行わない、という指針を作られているそうです。
中四国でアドバイザーをさせて頂いている弊社では、実際のところ、4年~5年での回収が見込めなければM&Aの成約が難しくなっている、と感じています。
(勿論、例外はあり、7年~8年を超えた事例や、そもそも回収が見込めないような赤字債務超過のM&Aの成約事例も数多くありますので、一概には言えません。)

一目で分かるM&A株価評価の上げ方

それでは今回の本題に入りたいと思います。
M&Aでの譲渡の際に、株価評価を上げる方法は以下の3つが考えられます。

1.今すぐM&Aをしたい譲渡オーナーの株価評価の上げ方

ここをチェック!!

譲渡後に営業利益にプラスになる要因を見つけ出す

自社で退任する役員の役員報酬を、標準役員報酬に引き直す
退任する役員に掛けている保険料は控除する
退任する役員が多額の接待交際費を使っている場合も控除する
減価償却費の過不足額修正(※特別償却があった場合は、利益が圧縮されている)

上記以外にも

譲受企業と同一になることで期待される、売上高の上昇と利益の上昇額
事務/経理/総務など管理部門が統一されることによるコスト圧縮額
仕入先が統一されることによる原価圧縮額
営業エリア/営業商品が拡大することによる譲受企業の利益上昇見込額

が考えられます。企業毎によって状況が異なりますので、しっかりとM&Aアドバイザーと相談して下さい。

2.実際の譲渡まで1年以上の時間がある譲渡オーナー

ここをチェック!!

M&Aの準備を行えるアドバイザーと伴走し、BS/PL/組織体制等を改善する

経営引継ぎ計画書を策定して課題の把握と目標設定を行う
分散してしまっている株式を譲渡オーナーに集約する
足元の収益力改善を行い、営業利益額を改善する
採用活動をアドバイザーと行い、人員不足を補うことで営業利益額を向上する
会議体と行動報告の社内フローを整備し、社長が動かなくても従業員が自発的に動く組織を創る

上記のような伴走支援型のM&Aを、弊社では「ビフォーM&A」と呼んでいます。
実際に弊社のビフォーM&Aでは以下のような事例があります。

【事例①】1年で売上が1.5倍、赤字から黒字に反転することでM&Aの株式価値が向上
【事例②】2ヶ月で新規取引先が3社増え売上高が向上

1年以上の時間がある譲渡オーナーの方は、ビフォーM&Aができるアドバイザーに御相談頂くことが重要です。

3.もっと株価評価を上げたい譲渡オーナー

ここをチェック!!

アーンアウト方式を採用する

アーンアウト方式とは、M&A取引の実行(クロージング)後、一定の期間において、M&Aで譲渡した企業が特定の目標を達成した場合、譲受企業が譲渡オーナーに対して、予め合意した算定方法に基づいて買収対価の一部を支払うこととする方式です。

この方式の譲渡オーナーのメリットは、株式を売却した後も経営に関与し続ける場合、結果を出せば更にキャッシュを手にすることができる点にあります。

譲受企業は、対価の一部を後払いすることが可能となるためM&Aリスクを低減することができ、実質的に譲渡オーナーにとってはM&Aの株価評価アップにつながることが多い方式です。

いかがでしょうか?

「適切な株価で譲渡したい」
「株価をしっかりと上げたい」

このような場合には、M&Aアドバイザーに御相談を頂くことをお勧めいたします。

「M&Aを成功に導く」ためにも、弊社が皆様のアドバイザーとして皆様の成功のお手伝いが出来ますことを楽しみにしています。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

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