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M&Aアドバイザーの手数料はなぜ高い?現役アドバイザーが明かすその理由と手数料を抑えるコツを解説します

投稿日:2025年3月13日 最終更新日:

M&Aは企業の存続と成長・労働生産の向上など企業にとって重要な課題解決のための手法であり、専門的な知識と経験を持つM&Aアドバイザーのサポートが欠かせません。
しかし、その報酬の高さに驚かれる方も多く、以下のようなご質問を頂くことがあります。

「そもそもなぜM&A手数料は高いの?」
「M&A手数料を抑えるコツはないの?」

前回のコラムでは、譲渡企業様の目線に立ってアドバイザー手数料が高いといった問題を解決する方法をご紹介しました。

今回のコラムは、M&Aを予定されている皆様に手数料を抑える4つのコツについてご案内します。

M&Aアドバイザーの手数料が高い理由

M&Aアドバイザーの手数料が高額になるのは、専門性の高さと業務の複雑性、成立までの時間の長さが関係しています。以下に、特徴的な3つの理由をご案内します。

理由①  成約まで長期にわたる手厚いサポート

M&Aのプロセスは、始まりから終わりまで通常6カ月から1年以上かかることが一般的です。

この間、企業価値評価/買い手候補の選定/トップ面談/条件交渉/基本合意/買収監査対応/最終契約締結/資金決済など多岐にわたるサポートを行います。
案件の進捗に応じて、柔軟に対応することが求められるため、報酬が高額になる理由の一つになっています。

理由②  成果報酬型の報酬体系が影響している

M&Aアドバイザーの多くは、案件が成立した際に成功報酬として手数料を受け取ります。
この成功報酬は、通常レーマン方式と呼ばれ、取引額の数%で設定されることが多く、大型案件の場合は金額が高額になります。

この報酬体系は、アドバイザーがM&Aを成立するために長い時間とリソースを投じるリスクを反映しています。実際に、譲渡案件の成約率は大手M&Aアドバイザー会社であっても30%~40%と言われています。

時間と労力をかけても必ずしも成約するとは限らず、成約しなければ報酬を得ることができません。
そのため、成約の難しさを踏まえたリスクの対価と考えられます。

理由③ 専門性に加えて様々な専門家との連携が求められる

M&Aアドバイザーは、財務分析、市場分析、法務知識、税務知識、労務知識、交渉スキルなど多方面に幅広い知識が求められます。

また、業界特有の「専門知識」も必要です。

<建設業の場合>
・譲渡後に重要な経営管理責任者や専任技術者の要件など、人に関わる知識
・談合やリベートの有無
・粉飾決算(未成工事支出金を使った費用の繰り延べ/外注費の譲渡直前の抑制等)を把握する知識

さらに税理士/公認会計士/弁護士/社労士/行政書士など、様々な士業の先生方からアドバイスをもらいます。

例えば、許認可の維持、会社分割などの組織再編行為や契約書案の作成など、行政や法律の手続きに則って適切な対応が必要とされるため、M&Aアドバイザーは専門家の先生と密接に連携しています。

M&Aアドバイザーの手数料を抑えるためのコツ

いよいよ本題です。
手数料を抑えつつ、ご自身に合った良いM&Aアドバイザー選びができるコツをご紹介します。

point 1. 複数のアドバイザーを比較する

複数のアドバイザーに相談し、サービス内容や特徴、費用を比較してください。
特に、具体的なサービス内容や実績を確認し、適正な報酬水準をご判断いただければと思います。

point 2. 「契約前」に報酬体系を詳細に確認する

着手金や中間報酬の有無、成功報酬の割合や追加費用の発生条件など、報酬体系を事前にしっかり確認しておくことが重要です。
特に、着手金や中途解約時の費用が明記されているかを確認し、不明確な場合は質問をして透明性を確保してください。
契約後の変更は非常に難しくなりますので、必ず「契約前」にご確認ください。

point 3. 中小企業向けの専門アドバイザーを選ぶ

大手M&Aアドバイザーは高額な報酬設定が多い一方、中小企業向けや地場のアドバイザーは、比較的手頃な料金で柔軟なサービスを提供することがあります。

ご自身の企業規模や案件に合ったアドバイザーを選ぶことが大切です。

point 4. M&Aプラットフォームの活用

最近では、高額なM&A手数料を必要としないオンラインで候補先探しを行えるプラットフォームも数多くあります。
一方で、情報漏洩のリスクや適正価格の見極めが難しいため、想定外のトラブルに発展するケースも少なくありません。
専門家の支援を受けながら慎重に進めることが重要です。

まとめ

いかがでしょうか。

M&Aアドバイザーの報酬は決して安くありませんが、費用を抑えることだけを優先すると、思わぬリスクに遭遇する可能性があります。
実績が豊富で信頼できる適切なアドバイザーを選ぶことは、M&Aの成否を左右する重要なポイントです。
単なるコストではなく、M&Aの成功に直結する「投資」として、慎重にアドバイザーを選択してください。

皆様のM&Aが成功するよう弊社も全力でお手伝いさせて頂いています。

この記事の執筆者

新川 功雄(取締役副社長/M&Aシニアエキスパート)

早稲田大学卒。大手サービス会社、マーケティング会社、外資系企業に勤務。赤字債務超過の中小企業を経営し、黒字企業に立て直した後、自身の会社を事業譲渡して、2016年から現職。首都圏への進出、上場企業のM&A支援等を経験。

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